1月7日(土)
●御来光を見に行く
 5時30分に阿里山臨時站に到着。列車の発車まで時間があるのか殆ど人が居ない。既に 窓口は開いているので往復券を3人分購入する。乗車券購入後、早速改札口に入るが、ホ ームには殆ど人が居ない。早すぎたか?
 時間が経つにつれ、どんどん改札内に人が集まってくる。乗車位置に並び列車を待つ。 待っている間、おばちゃんが御来光を見る為の簡易サングラスを大声で売り歩いている。 暫くすると8両の客車を繋いだ編成が入線してくる。列車は最後尾に機関車が連結されて いて客車を押していくスタイルで走るが、今日は4両目と5両目の間にも機関車が連結さ れている。機関車が2両連結される場合、編成の前後に1両づつ、先頭に機関車が2両連 結されるというのは見かけるが、中間に機関車が連結されるのは初めてである。今日は阿 里山臨時站発車時点で座席は全て埋まった状態。次の沼平車站でも大量の乗客が乗車した 為、車内は大混雑に。真っ暗な闇の中を列車は右へ左へとカーブしながら山をさらに登っ ていく。

祝山行きの車内 祝山車站に到着

 祝山車站に着くと一斉に乗客が降り、御来光を見に行く。空は曇り空だが、雲の間に隙 間がある。ここから太陽が出ればと期待する。しかし、日の出時刻になっても太陽は見え ず。ここまで来て御来光を拝めないとは...
 しかしながら眼下に広がる雲海は見事である。また、時折、雲の切れ目から太陽からの 光線が見えたり、御来光は見れなかったものの、別の楽しさがあった。再訪を誓い祝山を 後にする。帰りがけ、観光ガイドらしき人が
「明日もあるよ」
と言う。日程に余裕があれば、もう一日滞在して明日も御来光を見に行きたいが、そう言 う訳にはいかない。明日、日本に帰国しなければならない。  帰りの列車に乗り、阿里山車站に着くと濃霧であった。夜明け前は霧などなかったのだ が山の天気は変わりやすい。

祝山展望台の様子 太陽の光線が見える

 まずは帰りのバスの時刻を確認するべくバス停に向かう。前回訪問時は無かった阿里山 車站から神木車站までの区間運転があり、よりお手軽に森林を散策できるようになってい る。本来なら昼間で阿里山森林鐵路の区間運転の列車に乗りつつ森林を散策してから昼間 の列車で嘉義車站まで下山したかったのだが、今日の夜までに台北に着く必要があるため、 10時のバスで下山することになった。バス停で時刻表を見ているとタクシーの運ちゃんが 声を掛けてくる。
「タクシーで嘉義へ行かないかい?」
「全部で600元でOKだよ」
と話しかけてくる。さらに、
「バスで行くのと運賃は変わらないし、バスより嘉義の到着は早いよ」
との事。旅程的に早く嘉義車站に到着したかったのと、3人なら万一、トラブルに巻き込 まれた時は対応できそうと判断して、タクシーで行くことにした。10時に阿里山車站の駅 前広場で待ち合わせした。

阿里山行きの列車 中間に機関車が挟まっている
沼平車站で大勢が下車 沼平を過ぎると車内は閑散
濃霧の阿里山臨時駅 再建中の阿里山車站

●土産購入
 宿に戻る前に土産を購入する。阿里山は高山烏龍茶が有名な場所。数少ない土産屋の中 にお茶専門店がある位お茶が名産になっている。今回は会社の人に烏龍茶を買ってきて欲 しいと頼まれた事もあり、お茶屋さんに入ってお茶を購入。高山烏龍茶は高価であるが、 その分おいしい。お店の人も試飲させて貰った時にお茶の葉の香りを確かめて欲しいと言 う。確かに香りが良い。それだけ良い茶なのである。
 お茶を飲みながら世間話をする。世間話をする際に必ず聞かれるのが、
「何処から来たの?」
類の質問である。案の定、今回もこの話題からスタートする。
この質問には条件反射のように
「日本からだよ」
と即答。すると
「日本?香港からだと思った」
と言われる。またしても香港人だと見られてしまった。どうやら私は中国人に中国人と思 われてしまうらしい。さらに
「何処で言葉を覚えたのか?」
等を聞かれる。これまたいつものパターンである。
 烏龍茶以外の茶も飲ませて貰うが、やはり烏龍茶が一番口に合う、と言う事で烏龍茶を 値切った上で購入。おまけにサンプルもつけて貰う。

●宿に戻る
 土産屋で一通り土産を購入した後は宿に戻りテレビを見ながらしばらく落ち着く。台湾 はケーブルテレビが発達していて何十ものチャンネルがある。さすがに阿里山はケーブル テレビが来てないらしくチャンネル数が少ない。テレビを見てると鉄道の旅の特集をやっ ている。そういえば花蓮の宿でも同様の番組があった。台湾でも鉄道の旅が見直されてい るのだろうか。10時前にチェックアウトして阿里山車站前の駅前広場に向かう。既にタク シーの運ちゃんが待っていた。これから下山する事になる。

●恐怖のダウンヒルドライブ
 濃霧の中、我々を乗せたタクシーは嘉義に向け出発。運ちゃんは
「嘉義車站まで1時間半で着く」
と明言。列車では3時間半、バスでも2時間は掛かる筈である。既にタクシーの運ちゃんに は嘉義車站まで600元と交渉済みであるため、早く着けば着くほどタクシーの運ちゃんは、 我々以降の営業時間を多く割ける事ができる事になる。
 その為か、100m先も見えない濃霧の中、タクシーは山道をぐんぐん下る!先が見えない のにカーブで反対車線まで入り込んで進路をショートカットしたり、前に遅い車が居たら、 煽った後に追い越す。
 その結果、3人とも車酔い状態でだんまりしてしまう。さらに途中からはルートのショー トカットの為に時折裏道に入って狭い道を飛ばしていく。まじで気持ち悪い。
 山を下りきり、嘉義の街中に入るとレーンチェンジを繰り返して車の間を潜り抜けて行 く様に先を急いでいく。そして予告通り1時間30分で無事に嘉義車站に到着。
 タクシーの運ちゃんの人柄も良く、色々と質問しても快く答えてくれるし、嘉義車站到 着時は荷物の搬出を手伝ってくれたり、さらにタクシーに70km以上乗って日本円で2,000 円強と、日本ではありえない運賃など満足度は非常に高い。が、しかしながら、かなり怖 い運転なのも事実。時間は確かに速かったが、身の安全の為には時間が掛かってもバスで 行った方が良いと思う。もっとも台湾ではバスの運転士も運転が荒いが...

●寒っ!!
 タクシーの運ちゃんのおかげで予定していた列車より1本早い列車に乗る事に成功!窓 口で乗車券も無事に購入でき、列車が入線するホームへ急いでいく。これで、ようやく暖 かい場所に降り立ったと思いきや全然暖かくない!阿里山と嘉義とでは2,000m以上の高低 差があるので、阿里山より嘉義の方が確実に暖かい筈である。しかし、阿里山と同じ服装 でも全然暖かくない。むしろ寒いくらいである。阿里山に向かう時はセーター無しでも寒 くなかったのだが。

●苗栗
嘉義11:36→苗栗13:43 呂光號 18車次 266元

 ここから列車の旅を再開する。今日の呂光號は新車らしく車内が非常に綺麗である。車 内も最新型の自強號と比べても遜色ない。出発してすぐにお昼になり、腹が減ってくる。 丁度そのころに車内販売で弁当が売り出される。早速、車販の兄ちゃんを呼び止めて弁当 を購入。
「一つください」
「60元と80元のがあるけど、どっちが良い?」
と言われるので60元のをチョイス。弁当箱には自強號の写真に「鐵路便當」と書かれてい る。台鐵のロゴも入っており台鐵関連のレストランで作っている模様である。味の方も悪 くない。景色を見ながら弁当を食べる。
 嘉義から苗栗まで2時間以上掛かり、結構遠い。嘉義は台湾でも南部地方にあたるんだ なぁと実感。列車は時刻通りに苗栗車站に到着。

鐵路便當 中は排骨飯
呂光號の車内 苗栗車站に到着

●苗栗鐵道文物展示館
 苗栗では「苗栗鐵道文物展示館」を見に行く。ここは台湾で活躍していた実物の車両が 展示されている。入場料も無料となっており前々から行ってみたかったが、苗栗という場 所が中途半端な場所にあるので、なかなか足が向かなかった。今回は一緒に来た2人の希 望もあり行く事になった。苗栗車站から5分歩くと展示館に到着。展示館は誰もおらず車 両達をゆっくり見学することができた。

展示館全景 展示車両(その1)
展示車両(その2) 展示車両(その3)

●満席!
 展示館から苗栗車站に戻ってきて、次の列車の時刻を見ると前の列車が出発したばかり で40分来ないことが判明。既に台湾一周の旅も終盤でゴール目前という事で油断してしま い、時刻をきっちり調査しなかったのが敗因。バスで台北方面へ向かうこともできるだろ うが、ここまで列車で来たのだから、他の交通機関を使うことは考えられない。と言う事 で必然的に次の自強號に乗車することになる。列車が来ないのは仕方が無いので、気を取 り直して次の列車の乗車券を購入する。今回の乗車券購入に、ついにN君登板!時間も十 分あるので、時間が掛かってもOK!がんばれ〜!
 N君が切符の購入から戻ってくると
「無い」
と言われたとの事。がーん、やられた!
今回の旅行は何度も直前購入しているのにも関わらず、殆ど第1希望の列車の座席を確保 できた。去年の台南で乗車券購入の際に台北までの座席が確保できずに苦労した経験があ るので、座席の事前確保に努めていたが、台中より台北寄りである苗栗ではNo checkであっ た。それにしても最後の列車で満席とは...
 で、自強號でも無座票(立席乗車券)は自動券売機で買えるのでN君に自動券売機での 購入を依頼。しかし、すぐに戻ってくる。
「台北までの乗車券は買えないみたい」
実は、自動券売機で買える乗車券は近距離のものだけである。従って苗栗から台北までは 近距離ではない事になる。しまった!台北までの距離をめちゃめちゃ甘く見ていた!
 台北までの乗車券は窓口でないと購入できないため、再びN君に依頼。今度は「無座票 」の指定をしてもらう。これでようやく乗車券を購入。自強號の乗車券には列車の発車時 刻と到着時刻が書かれているが、乗車時間は1時間半以上!確かにこれは遠い!

●満員の自強號
苗栗15:57→台北17:30 自強號 1022車次 257元

 列車は若干遅れての到着。車内は既に立席がいる状況。この列車は去年、台南から台北 まで乗車した列車そのものである。今日は週末!という事は、混雑振りは前回乗車時と同 様と考えれる。前回は無座票であったものの空席に座ることができ、そのまま指定券を持 っている人が来なかったので、辛くは無かった。しかし、今回は空席ができるものの、直 ぐに指定券の所有者が来るというパターンを繰り返す。列車は乗車前に予想した通り、駅 に停まる度に混んでくる。1時間30分が非常に長く感じる。
 結局座席を確保できたのは「板橋車站」到着時。もう台北は目と鼻の先。日本の例で挙 げれば、東京行きの東北新幹線で上野駅で座席が空き、東京駅まで座るようなもの。
殆ど意味無し(笑)台北到着を以って、台湾一周を無事に完了する!

●最後の宿の確保
 明日の朝に中正機場に向かい日本に帰国する。即ち宿の確保は今日が最後となる。今ま で宿の確保、及び交渉は全て私がやってきたが、最後位は誰かに経験させたい。台北の中 級以上の宿だったら多分英語も通じるだろうし。と言う事で今回はJ君に任せてみること にした。ガイドブックに掲載されている宿リストから台北車站に近いホテルをChoiceして 向かうことにする。既に台北車站にいるので後は歩いていくだけである。
 ホテルのロビーでJ君が部屋がある事を確認。ただし、今回の支払いは手持ちの現金が 少ないN君がCredit cardで支払いたいとの事。と言う事で支払い方法だけは、さすがに Supportすることに。
「Credit cardは使えるか?」
「使えますよ」
あとは、N君に支払いを任せて部屋のKeyと朝食券を受け取る。ここの宿は朝食込みのよ うである。

●この旅最後の夜市
 宿で一息ついてから食事に出かける。最後の夜市である。今日の夜市も私が行った事の 無い夜市にすることに、みやげ物を購入しながら台北でも有名な夜市である華西街觀光夜 市に向かう。
 今回の旅行の初日に台北の夜市に行った時は上着など必要なかったが、今回は阿里山と 同じ格好で出かけている。それ程、今日の夜は寒いのである!街頭の温度計を見るとなん と9℃を差している!ここは本当に台北か!?と疑いたくなる。
 華西街觀光夜市であるが、蛇料理等、精力を付ける食事ができる店が多いのが特徴であ る。店の構成、雰囲気共に他の台北の夜市とは明らかに雰囲気が異なる。また、台北捷運 の車站から華西街觀光夜市までは非常に明るく賑やかであるものの、夜市の奥まで行くと 妙に暗く危険な香りがする。これも他の屋台には無い雰囲気である。ここは元々風俗街が あった場所という事もあり、危ないと感じる所には近づかない方が良いだろう。
 夜市を一回りした所で食事を採ることに。食事についても殆ど私が決めていたので、最 後の夜はN君に決めてもらう事にする。かなり迷って一軒の屋台に入る。今日は魯肉飯と スープを注文。J君、N君も私と同じものを注文。
 次に、甜不辣(Tianbula/テンプラ)と書かれた看板の店に行く。ここは、ずっと行列が できていて個人的に気になっていた。行列に並んで購入する。ちなみにメニューは1つし か無く、サイズを選択できるだけである。購入したものを見ると、どうみても「おでん」 である。「テンプラ」と書いて「おでん」。名前はともかく、行列のできる店だけあって、 かなり旨い!ぺロッと平らげる。夜市を楽しんだ後は夜食を購入して宿で飲みなおす。こ れで台湾へ再び訪れるまで夜市とはお別れである。

華西街觀光夜市 屋台の風景
魯肉飯とスープ テンプラという名のおでん


1月8日(日)
●帰国
 朝7時頃に起床。ついに帰国の日を迎えてしまった。ホテル内のレストランで朝食を採 り9時前にチェックアウト。空港行きの場所に乗車。飛行機は12時45分の便であるが道路 が渋滞することを想定して早めに出発する。渋滞する事を想定したが、特に渋滞せずに定 刻通りに空港に到着。
 出発まで3時間弱あるが既にCheck-inできる様なので、早速Check-inする。Check-in後、 CD屋でCDを購入してから出国手続き、ブーブーゲートを通る。あとは飛行機に乗って帰国 するだけである。待っている間は本屋や免税店で最後の買い物。さらに今回の旅行最後の 牛肉麺を食べる。この味ともお別れか。
 飛行機は行きと違い、定刻通りに出発。成田空港を目指す。成田空港到着後、3人と も京成電車に乗車。それぞれの最寄り駅で下車して帰宅するのであった。
(完)

(おまけ)今回購入した乗車券


戻る「台湾旅行記(その4)」 Back to home