1月4日(水)

●まずは花蓮車站へ
 朝7時に宿のリビングで朝食を採り、8:30に宿をチェックアウトする。宿の主人の 車で花蓮車站まで送ってもらう。
 今日の宿は部屋の清潔さ、居心地の良さ共に満足行くものだったが、一番の収穫は日本 語で現地の最新情報を得られること。街の中心部から離れているデメリットはあるが、こ れはキッチリと送迎してくれるので問題なし。花蓮に再び訪れた時はまたここに泊ろうと 思うのでした。宿の人にお礼を言って駅に降り立つ。

宿の部屋から 花蓮車站

●いざ台東へ、が。
 さて台東へ行くべく切符を購入する。今回の旅行では多少中国語を勉強してきたJ君に 場慣れさせる為、乗車券を買わせている。と言う訳で、切符の購入は彼にまかせて、駅の 売店で買い物して戻ると、なんと昨日のタクシーの運ちゃんに捕まっているではないか(笑)
 話を聞くと切符を購入する為に窓口に見せるメモを書いている途中につかまったらし い。タクシーの運ちゃんは花東公路の海線を通って観光地をめぐりつつ知本温泉に向かう コースを提案してくる。今日は晴れているので海岸を巡るのも悪くない。この運ちゃんな ら、しっかり仕事してくれるので間違いなく楽しめるだろう。
 しかし1人1,500元は高い。さらにタクシーの運ちゃんから
「知本温泉は通常一人1,000元するが、知り合いが居るので一人当たり500元、合計1,500元 で泊めてあげられる」
と言われる。さらに一人1,300元と合計600元割引の提示もしてくる。
 しかし、今回の旅の目的の一つに
「列車で台湾一周」
というのがある為、残念ながら断ることに。あと1日花蓮に滞在できるのなら、多分タクシー をチャーターして観光していただろう。

●気を取り直して
 まずは先ほどタクシーの運ちゃんに捕まって買えなかった乗車券を購入。乗車券購入後、 あと1時間程時間があるので花蓮駅前にある鉄道資料館(と言っても車両が展示されてあ るだけだが)に行く。花蓮〜台東間の軌道がナローゲージの時代に活躍した車両たちが生 体保存されている。屋外での保存であるものの車両の状態は悪くない。
 資料館を見学していると飛行機が頻繁に低空飛行で飛んでいるのを見かける。花蓮車站 の近くに空港があるらしく着陸時の轟音も聞こえる。さらに旅客機に混ざって時折、戦闘 機も発着している。戦闘機の着陸音はかなり騒々しい。
 見学している内に発車時間が迫って来たので改札口に入る。今日乗る列車は昨日と同様 のディーゼルカーの自強號である。今日はこの列車に終点の台東まで乗車する。ちなみに 花蓮からは単線非電化区間の為、この列車の本領を発揮する区間である。
 また、花蓮までは海岸線沿いに走るが、ここからは山に囲まれた内陸部を走ることで景 色も一変する。天気も快晴な為、車窓も楽しみである。

駅前に車両が展示されている 飛行機が低空飛行で通過

●昨日と同じ自強號
花蓮9:50→台東12:16 自強號 1051車次 355元

 花蓮発9:50の自強號1051車次に乗車。昨日と同じ便名の為、車両のタイプも同様で ある。列車は静かに台東を目指して発車する。
 花蓮までは海岸線を走るもののトンネルばかりで景色はいまいちだったが、花蓮からは 山間部を走るが逆にトンネルが少ない。天気の良さも相成って車窓は抜群に良く、眺めて いると心地よい。乗車前の期待を裏切らない眺めである!
 途中、昨日行こうとした復光車站を下車せずそのまま乗車。

 そして、列車は池上車站に到着。この駅は米どころという事で駅弁が有名。ホームでは 日本語で「弁当」を意味する中国語、「ビェンダーン(便當)」とかけ声が聞こえる。
 売り子が弁当を売る姿は日本の駅に通じるものがある。ちなみに、台湾のコンビニ弁当には 「池上便當」と書かれているのを見かけるが、その本家はここの駅弁である。
 列車はさらに南下を続けて定刻に台東車站に到着。終点のアナウンスで英語放送があった。 台鐵の車内で英語放送を聴くのは初めてである。

車窓の景色(その1) ここで途中下車する予定だった
車窓の景色(その2) 弁当を売る小姐(池上車站にて)
台東車站に到着 ホームから花蓮方面を望む

●台東車站
 列車を降り、改札を出ると唖然とする。目の前はだだっ広い空き地。あるのは小さなバ スターミナルとテレビ塔らしき建物と塔程度しかない。そして、空き地の向こう側はレン タバイク屋がある程度。本当に何も無い。ここから台東の街の中心部までは5キロ程ある 為タクシーかバスで行く必要がある。
 これから我々は、台東の中心部まで行って観光する予定だが、今日の最終目的地は台東 では無い為、再び台東車站に戻ってきて列車に乗車する。従って荷物を預けられれば台東 で身軽に観光できる。昨日の宿の主人に台鐵の主要駅には荷物一時預かり所がある事を聞 いている。台東車站にもあるだろうと探してみると、すぐに発見!
 私はリュック一つで旅をしている為、荷物を預ける必要は無いのでJ君とN君の2人で 荷物を預けることに。私はあえて何も手を貸さなかったが、多少時間は掛かったものの無 事に荷物を預ける事に成功!人間、言葉が通じなくても必死に伝えようとする意思があれ ば通じるものである。そう、やれば出来るのである!

台東車站 駅前はご覧の通り

●台東観光
 荷物を預けて身軽になった所で台東の観光に出かけることにする。街の中心部に出るバ スの乗り場と時刻は彼らが荷物を預ける手続きを行っている時にこちらで調査済み。
 バス停で暫く待つとバス来るので乗り込む。路線バスであるが車両はどうみても観光バス。 運賃は20元。日本円で80円もしない値段でリクライニングシートのバスに乗れるなんて得し た気分である。
 街の中心部到着後、ガイドブックに掲載されている牛肉刀削麺の店「北平半畝園」に行き、 遅い昼食を採る。そういえば今回の旅行ではまだ純粋な牛肉麺を食べていなかった。と言う 訳で、半年振りの牛肉麺を満喫。ここの牛肉麺も旨い!
台湾に来たら牛肉麺は外す事はできないメニューである。
 我々が会計を済ます頃にはお店は既に片づけをしていた。営業時間を確認すると昼は14 時まで。時計を見ると14時を回っていた。実はぎりぎりセーフだった訳である。

台東の街並み(その1) 台東の街並み(その2)
北平半畝園 刀削牛肉麺

 その後、バスターミナルのすぐ近くにある台東旧駅舎を見に行く。現在の台東車站は既 に述べたとおり街の外れに移転しており、役目を終えた台東車站の旧駅舎は保存されてい て構内を見学することができる。駅舎は小じんまりとしているが、ホームに行って駅構内 を見渡すと意外と広い。駅舎、ホーム共に保存状態も良好で、ホーム上に立っていると列 車が入線してきそうな雰囲気である。
 ちなみにホーム上には駅の廃止後に建てられたと思われる喫茶店があり、席から駅構内 を眺めながら軽食を楽しむことができる。気分的に喫茶店でゆっくりしたかったが、ここ で台東車站に戻る時間になる。名残惜しいが、旧駅舎前のバスターミナルを14:40に発車す るバスに乗り込み台東新站に戻る。

台東旧駅舎 旧駅前広場
旧駅のホーム。列車が来そうな雰囲気 台東車站と市街地を結ぶバス

●知本へ
台東15:30→知本15:44 普通號 354車次 13元

 台東から再び列車に乗車。今度は普通列車である。ここ台東から枋寮までの区間は台鉄 の本線で最も本数の少ない区間で、普通列車に至っては1日に朝と夕方に一本づつ、合計 2本しかないのである。
 今回乗車するのは夕方発の2本目、つまり本日最後の普通列車である。

 台湾の普通列車は「普通」「平快」と場所によって呼び方が異なりややこしい。元々は 別々の種別だったのだろうが、現在はどちらも各駅停車として運行されている。ちなみに 我々が昨日、蘇澳新站から乗車した列車種別は「平快」、今日、台東車站から乗車する列 車種別は「普通」である。同じ各駅停車なのに種別が異なる。
 尚、運賃は「普通」に乗っても「平快」に乗っても同じで、どちらも「普快」という乗 車券を購入する。「普快」とは文字通り「普通」「平快」兼用の乗車券を意味しているの だろう。
 これから我々が乗車する列車は昨日乗車した「平快」と同じ車両。即ち旧型客車である。

 今日の列車は4両編成である。一部の車両は壁にペンキを塗ったばかりなのか、異様に ペンキ臭い。今日も昨日と同じく一番後ろの車両に腰を下ろす。車内は昨日と同様、ガラ ガラである。窓や一番後ろの簡易展望から景色を眺める。
 わずか14分の各駅停車の旅であるが十分に楽しむ事ができた。定刻通り知本車站に到着。

旧型客車(前から撮る) 旧型客車(後から撮る)
非電化区間を走る 列車を見送る駅員
知本車站 駅前風景

●知本温泉
 知本車站に停まっているタクシーを捕まえて知本温泉に向かう。まず、タクシーの運ち ゃんに知本温泉までの値段を聞く。で帰ってきた答えは200元との事。大体200元と いう表現ではなく、きっかり200元である。何故なら彼らはメーターなど倒さないから (笑)
 着いてからボッタクられるのを防ぐためには、ちゃんと値段を聞いておきましょう。こ れ、非常に大事!
 温泉地に向かう途中、タクシーの運ちゃんが
「宿は取って有るの?」
と聞いてくるので
「ないよ。これから取る」
と答える。すると
「知り合いの人が居るから安く泊まれる」
と話してくる。宿の名前を聞くとガイドブックにも載っている大きな宿である。
 とりあえず、タクシーにはそこまで行って貰うことにする。すると運ちゃんは携帯を取 り出し電話をする。話は殆ど聞き取れなかったが、一部聞き取れた表現から
「これから知人を連れていく」
というような感じだった。
宿に着くと、予想通り客引きの人が登場。そこら辺の繋がりは本当に見事!

 宿はガイドブックにも掲載されている綺麗なホテルである。部屋を見せてもらうが、何 故かロビーを素通りしてダイレクトに部屋に通される。部屋を見るとかなり綺麗!で、気 になるお値段は1,500元。
「他に安い部屋は無いか?」
と聞くと1,200元のがあるとの事。さらに、
「1,000元のは無いのか?」
と聞き返すと少し悩んだ末
「ある」
との事。1,000元の宿を見せて貰う事になり、宿の前からタクシーに乗せようとする。
 タクシーに乗って追加運賃を払わされたら、たまらんので
「自分で歩いていく!場所は何処だ?」
と場所だけ教えて貰い、歩いていく事にする。
 温泉街を歩いていると、今度は先ほどの人が自家用車で登場。これに乗って行けと言わ れる。そこまでして車に乗せたいのか?
 で、とあるホテルに入り、またしてもロビーをスルーして部屋を見せてもらう。部屋を 確認したところ、テレビもバスルームもあり問題なさそうだったので、この1,000元の部屋 に決めた。
 最初、1,000元と聞いた時は知本温泉の相場から一人当たりの値段かと思っていた。しか し、ここは台湾。当然の事ながら1部屋当たりの値段なのでした。これだったら1,500元の 部屋でも良かったかも。

 で、通常1人1,000元以上する宿が何故ここまで安く泊まれるのか?ここにカラクリがあ り、この部屋はホテルの中にあるが、個人の所有物なのである。で、宿を通さずそのまま 一泊幾らという感じで部屋を貸し出しているのである。
 その為、ホテルとは一切関係ないのでルームサービスは部屋の管理者に連絡する事になっ ている。こんなのありなのか?と思わず関心。
 先ほど、車に乗せられたのは、そのままホテルに行って正規のカウンターを通すと彼ら の利益にならないからである。

 宿の部屋の窓から中庭や他の部屋のベランダが見えるが、中にはベランダから洗濯物が 干していたり、生活感溢れる部屋が見える。部屋を買い取る事ができるのだから、当然暮 らしている人もいるのでしょう。また、部屋が個人の所有物という事で部屋のドアの上には 住所が掲示されている。ホテル内の部屋の前に住所が掲示されているのはかなり奇妙である。
 宿泊した宿は1階の中庭に水着着用の露天風呂があるので、早速行ってみる。しかし、 温泉の入口には係員がいて入浴にはチケットが必要とのこと。しかし、我々はチケットな ど貰っていない。
 早速、ロビーにある公衆電話から部屋の管理者に電話して、その旨を連絡。暫くして部 屋の管理者がやってきてチケットを持って来てくれる。これを受け取り、ようやく入浴に ありつける。知本温泉は無色透明だが、若干硫黄の香りがする本物の天然温泉。
 水着着用と日本人にとっては違和感はあるものの、かなり気持ちよく入浴できました。

露天風呂(その1) 露天風呂(その2)

●夕食は豪勢に
 一昨日、昨日と夕食は麺類しか食べていない。今日こそ豪勢に!と言う訳で火鍋(中国 式鍋)を食べることにする。さすが一大温泉街だけあって食事には事欠かさない。
 火鍋がある店に入り、「大火鍋」と料理数品とビールを注文。たまには大陸系ビールを 飲もうと青島ビールを注文するが
「沒有」(無い)
と言われてしまう。じゃ、いつも通り「台湾ビール」で。今日の店は銘柄が選べるらしい ので「金牌」という銘柄を注文。
 テーブルには鍋と料理が並ぶ。鍋に野菜、肉を入れて、ぐつぐつ煮る。いい感じである。 頃合を見て「いっただっきま〜す!」
 で、今日のお会計は3人で1,000元オーバー。宿代より高い夕食になってしまった(笑)
しかしながら、とても満足のいく食事であった。帰りにコンビニに寄って買い物してから 宿に戻る。
 コンビニには他の日本人グループが我々と同様に買い物をしていた。こんな所で他の日 本人グループに会うとは思わなかった。部屋に戻った後、しっかりと飲み直してから就寝。

火鍋(中国式鍋) もう食べ頃♪ 一品料理と台湾ビール


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