2009年12月30日(水) 後半
●大邱(Daegu/テグ)線の旅
釜田行きのムグンファ号は定刻通り出発。列車は京釜線からすぐに大邱線へ入る。
大邱線は単線非電化のローカル線。大邱線に入るとすぐに長閑な風景に変わる。
乗車駅 → 下車駅 | 列車種別 | 行先 | 列車番号 |
東大邱13:00→慶州14:16 | ムグンファ | 釜田 | 1773 |
車内の様子 |
ローカル線と言っても前日に乗った全羅線より列車本数が多く、1時間に1~2本の便がある。
線路も大邱線に入るとコンクリートの立派な高架橋を走る。
何故、田園風景の中を高架橋で走るのか?と思ったら、KTXの高速新線が見えてくる。
この区間は現在建設中の大邱~釜山の区間。
高速新線は在来線である京釜線より日本海側を走行する。また、在来線が地図上では大邱と釜山間をほぼ真っ直ぐ結んでいるのに対し、高速新線は地形の都合だろうか、逆「く」の字型のルートとなり、大きく迂回している。
地図を見ると山岳地帯なのでトンネル区間が多くなりそうだ。距離が長くなる上、景色を楽しむという要素は少なくなってしまうが高速運転による速達効果を期待したいところである。
高架区間を行く 写真右側に大邱線の線路が見える |
KTX用高速新線を跨ぐ 既に架線も引かれています |
KTXの高速新線を跨ぐと高架区間が終わり地上区間に戻る。
そして、最初の停車駅、琴江驛に到着。時刻表上は通過になっているので運転停車かもしれない。
それにしても、なんとも長閑な雰囲気。
その後も大邱線内の駅に停まっていくが、長閑な雰囲気を感じさせる駅が多い。
韓国の動脈、京釜線には無い雰囲気。車窓の景色が楽しい。
琴江驛に停車 | 長閑な雰囲気 |
続いて河陽驛に停車 | 構内踏切があります |
ムグンファ1773列車は女性車掌が乗務。 客車列車は機関士と交信する為、無線機が手放せません |
列車は長閑な風景を走り、永川驛から中央線に入り慶州驛(Gyeongju/キョンジュ)を目指す。
そして列車は中央線の終着駅、慶州驛に到着。
慶州驛に到着 | 逆方向のムグンファ号と行き違い |
慶州驛 駅舎 | 慶州驛 駅前の風景 |
●慶州(Gyeongju/キョンジュ)市内観光
慶州驛到着後、まずは釜山(Busan/プサン)方面の乗車券を発券してもらう。
慶州驛から釜山方面へは東海南部線を利用する。慶州驛から釜山驛行きの列車は無く、全便、釜山市内の釜田(Bujeon/プジョン)止まりとなっている。
尚、釜田驛近くには釜山地下鉄の駅もあり、本数も多いので釜山中心部へのアクセスは問題ない。
という訳で釜田驛までの乗車券、慶州驛発16時38分のセマウル号を発券してもらう。
足の確保が完了した所で観光へ出発!
観光時間は約2時間。時間があれば慶州郊外にある仏国寺(ブルグッサ)や石窟庵(ソックラム)へ行きたい所だが、今回はさすがに厳しいと判断。慶州市内の遺跡巡りへ行くことにした。
遺跡と言っても何箇所もあり、さすがに2時間では回りきれない。
ガイドブックを見てO氏と相談して天文観測として使われていたという、瞻星台(チョムソンデ)へ行く事にした。
駅構内の観光案内所で日本語の観光ガイドを頂いて出発!
瞻星台は駅から11番系統バスで向かう。
バス停は駅前の道路を横断した所にある。
バス停には停留所の案内等があるが、全てハングル文字。これは厳しい。
暫く待つと11番系統のバスが到着。運賃は前払いで1,500Won也。
バスは一般バスと座席バスの2種類あり、それぞれ運賃が異なる。
我々が乗車したのは座席バスで運賃が高く、一般バスだと運賃が1,000Wonとなる。
このバス、郊外の仏国寺(ブルグッサ)まで行くので、終点まで乗る場合は良いが、すぐに降りてしまう場合は少々勿体無い。
11番系統バスに乗車 | 車内の様子 |
バス停から瞻星台(チョムソンデ)までは少々離れており10分以上歩きそう。
バス停の前に別の観光スポット、雁鴨池(アナブチ)があるので、そちらを先に回ろう。
雁鴨池は名前の通り、池の名前。
ここには、かつて西暦900年代には臨海殿という宮殿があったという。
現在は、その一部が再建されている。
そしてにても1,000年前の建造物、再現する場合、設計図等はどうしているのだろう?
と気になるところ。
尚、再建された臨海殿内には当時の模型や発掘された器などの小物が展示されている。
雁鴨池 切符売場 |
早速、中へ入ろう。入場料は1,000Won也。
中は結構広い。園内を一周すれば良い散歩になりそうだ。
それにしても、風が強く吹いており寒い!
池を見ると、どう見ても凍っている!! 寒い筈である。
広い園内 | 臨海殿の一部 |
雁鴨池(その1) | 雁鴨池(その2) |
続いて、瞻星台(チョムソンデ)へ向かう。
吹きっ晒しの道を10分強歩くと瞻星台が見えてくる。風も強く寒い。
瞻星台(チョムソンデ)へ向かう |
瞻星台は案内によると「東洋最古の天文観測台」
新羅時代の善徳女王が西暦632年~647年の在位中に建造されたという。
花崗岩を円筒状に積み上げられ、頂上で天体観測ができるようになっている構造。
有料施設だが、瞻星台は外から丸見え(笑)
施設内は瞻星台以外の建物も無いので、近くで見たり、記念撮影しなければ外から見るだけで済ませる事もできそう。
事情を察知してか、入場料は控えめの500Won也。
O氏は「塔」をイメージしていたらしく、がっかりした様子。
仕方ない、せめて入場料をおごってあげよう(笑)
入口には看板があり、瞻星台についての説明が記載されている。
しかし、建造物の説明のみで、当時、どのように天体観測していたのかが書かれていない。
また、搭の中に入る事ができないので窺い知る事もできない。
実際に観察した際の写真や、当時の観察の想像図などがあれば、実感が沸くのだが。
なんとも、いまひとつ感が否めない施設である。
瞻星台(チョムソンデ) |
●慶州の造り酒屋
瞻星台を見終わると、時刻は15時40分。列車の発車時刻まで約1時間。
歴史遺産巡りを続けると列車に乗り遅れそうなので、歩きながら駅へ向かいましょう。
O氏所有のガイドブックによると慶州には伝統酒を造る造り酒屋があるという。
地図によると、正にこの付近! 駅に戻る前に酒屋へ行ってみよう。
瞻星台から少し歩くと世界遺産の石碑を発見。
このエリアは世界遺産に指定されているのである。
登録名は「慶州歴史遺産地區」
臨海殿や瞻星台もその中に含まれているのだろう。
世界遺産の石碑 |
さらに歩くと新羅時代の古墳が見えてくる。
近くに古墳内部を見学できる施設「大陸苑」(テヌンウォン)もあるが、時間の都合で省略。
今回は外から見るだけにしておきましょう
新羅時代の古墳(その1) | 新羅時代の古墳(その2) |
少し道に迷うが、造り酒屋の案内看板を発見!
日本人や中国人も訪れるのか、案内は漢字で書かれているので普通に読めます
案内に従って歩いていくと造り酒屋に到着。
今回訪れた造り酒屋は「校洞法酒」、建物を見ると伝統を感じます。
造り酒屋へ向かう | 造り酒屋に到着 |
慶州 校洞法酒 |
早速中へ入りましょう。
中で店員さんを呼び、お酒を購入。
お値段も 33,000Wonと良い値段しますが、しっかりした瓶に入ってます。楽しみです。
要冷蔵との事ですが、本日の晩酌用なので問題ありません。
趣のある門 |
●慶州驛へ戻る
無事に酒を購入し、造り酒屋屋から出ると、既に午後4時!
列車の発車時刻まで、あと30分!急いで戻りましょう。
とりあえずバス通りに向かう。
途中、空車のタクシーを発見! すかさず乗車。
駅に戻りましょう! 歩くと遠いがタクシーだとあっという間!
あっけなく慶州驛に到着。
少々時間が出来たので、駅構内で慶州名物の「
パンと言う名称だが、どうみても饅頭。日本へのお土産としても良さそうだ。
発車10分前にホームへ向かう。
慶州驛の駅舎、正面から見ると駅名がハングル文字で書かれているが、ホーム側から見ると漢字で書かれている。毛筆体で中々格好良い。
慶州驛 駅舎 | ホームの様子 |
慶州驛は東海南部線の途中駅であると同時に中央線の終着駅。
どちらも単線非電化の路線であるが、ホームは2面4線と中々の規模。
ホームの側線には貨物列車が停車中。タンク車を20両以上繋いだ堂々とした編成。
列車の到着まで暫く待ちましょう。
堂々たる編成の貨物列車 |
そして、定刻通り流線型の機関車に引かれてセマウル号がホームに入線。
やっぱりセマウル号は、この機関車が似合う!
列車が見えました |
セマウル号入線!! |
慶州驛に到着 | セマウル号行先表示 |
●東海南部線の旅
セマウル号は慶州驛を発車し、東海南部線経由で釜田(Bujeon/プジョン)を目指す。
東海南部線は名前の通り、東側の海、つまり日本海に沿って線路が引かれている。
と言っても慶州から暫くは内陸部を走行するため日本海を望む事はできない。
乗車駅 → 下車駅 | 列車種別 | 行先 | 列車番号 |
慶州16:38→釜田18:26 | セマウル | 釜田 | 1055 |
車内は立ち席の人はいないものの、結構混雑している。
発車後、落ち着いたところで、O氏が先ほど購入した
私も購入しているが、これはお土産用。何個か頂く。
甘み控えめで美味しい! これはお土産として喜ばれるかも♪
席に座りました | 皇南パン |
乗車した時間が午後4時半という事もあり、暫くすると日が暮れてくる。
列車は黄昏時の蔚山(Ulsan/ウルサン)に到着。
ここで大勢の乗客が下車して車内はガラガラに。慶州から釜田まで通しで乗る人は多くなさそう。
もっとも、慶州~釜山間は高速バスが多く運行しており、便数、運賃、所要時間全てにおいて高速バスに分があるという事情があるので仕方ない部分もあるのだが。
セマウル号と言えど高速バスより遅いが、快適な列車の旅を楽しみたい。
蔚山を過ぎると辺りはすっかり夜。車窓からは暗闇しか見えなくなる。
ガラガラの車内も手伝って寂しい雰囲気が漂う。
蔚山市街を行く | 蔚山驛を過ぎると車内はガラガラ |
釜山に近づくと東側に明かりが見える。どうやら日本海沿いを走っているらしい。
東海南部線、次回は昼間に乗りたい。是非、東側から日本海を眺めてみたい。
と言う訳で、リベンジ決定(笑)。
そして、列車は海雲台(Haeundae/ヘウンデ)に到着。
ここから列車は釜山市街に入り、街中を走る。
東海南部線は京釜線等の幹線と異なり多くの踏切がある。さすがに釜山市街に入ったら踏切が無いかと思ったら、結構存在する。比較的大きな通りも踏み切りで横切っていく。
立体交差にならないのは、幹線と比べて本数が少ない路線だからだろうか、先ほどまで車窓からは殆ど闇しか見えなかったが、都市のネオンや車のライトが見え、我々を楽しませてくれる。
そして終着駅、釜田驛に滑り込む。
釜田驛 到着 |
●ホテルへ向かう
釜山市内に着いた所で、ホテルへ向かいましょう。
釜田驛は京釜線との接続駅なので、釜山驛までKORAILで行く事ができるが、残念ながら次の列車まで時間がある様子。素直に地下鉄に乗って行きましょう。
釜田驛は地下鉄駅と繋がっていないが、近くに釜田洞驛がある。
今日のホテルは、東横イン釜山中央洞。
最寄り駅は釜山地下鉄の中央洞驛。釜田洞驛、中央洞驛共に同じ釜山地下鉄1号線なので乗り換え不要です。
乗車駅 → 下車駅 | 系統 |
釜田洞(120)→中央洞(112) | 釜山地下鉄1号線 |
釜田驛 出口 | 釜田驛 駅舎 |
中央洞驛から5分程歩くと、東横イン釜山中央洞に到着。
早速チェックイン。日系ホテルなので日本語でも大丈夫です。
鍵を受け取って部屋へ向かいます。コンパクトながら機能的に纏められた部屋。
日本のビジネスホテル、妙に落ち着きます。
また、部屋内には100V対応コンセントもあり、変圧器無しで日本の電化製品が使えます。
韓国の電圧は220Vなので、これは嬉しい配慮です。
中央洞驛到着 |
部屋に到着しました | 100Vコンセント! |
●韓国最後の夜
明日は日本へ帰国するので、今日が韓国最終日。
韓国最後は少し豪勢に!という事で焼肉屋へ行く事にしましょう。
ガイドブックで焼肉屋を探し、いざ出発。
今回向かう焼肉屋は「釜山カルビ」、駅から遠いのでホテルからタクシーで行きましょう。
我々は韓国語は話せないので、ガイドブックを見せながら行って貰う。
なんとか無事に到着。
ここは、いつものようにハングル文字のパターン認証が不要。
何故ならカタカナ交じりの日本語が書かれているのである。多くの日本人も訪れるのだろう。
焼肉屋「釜山カルビ」到着 | おお!日本語!! |
店頭に書かれたメニューは日本語併記 |
中に入ると、かなりの混雑。地元の人で賑わってます。
人数を告げると、すぐに2階の席へ通されます。待たずには入れるのは嬉しい!
で、とりあえずビールと牛カルビ(22,000Won/1人前)を2人前注文しましょう。
韓国Wonが安いとは言え、牛カルビ1人前が2,000円弱する訳である。
多くのおかずが標準で付いてくるとは言え、決して安くない食事である。
店内の様子 | 着席 |
すぐに牛カルビが到着。
早速ジュージュー焼きましょう!
カルビ到着。早速焼こう! | 焼けてきました |
焼けてきた所でハサミで切ります。肉をハサミで切るのを見ると韓国へ来たなぁと実感。
そして細かく切った所で、もう暫く焼きます。そして食べ頃♪
では、いただきまーす!
韓国の焼肉は野菜を巻いて一緒に頂きます。うん、旨い!
ちなみに野菜は無くなると何も言わなくても追加してくれます。
ハサミで切ります | そろそろ食べ頃♪ |
カルビを美味しく頂きましたが、もう一品欲しいところ。
牛カルビはさすがに高いので、豚バラ肉を頂きましょう。こちらは7,000Won。
お値段、牛肉の3分の1以下!!!
日本も豚肉より牛肉の方が高いですが、それにしても凄まじい価格差です。
続いて豚を頂きます | ごちそうさまでした! |
豚も美味しく頂いたところで会計。
食後の運動も兼ねて釜山の街を歩きましょう。
お店の外では焼肉で使う炭を作ってました。この寒い中、ご苦労様です。
まずは屋台街や問屋街のような場所を歩きます。
店の外で炭を作成中 | 食後の散歩 |
●夜の釜山を歩く
暫く歩くと釜山の繁華街に着きます。
今回の旅行は全州、大邱と地方都市を巡っていた為、釜山の夜はとても賑やか!
さすが韓国第2の都市。規模が違います。
野外コンサートが行われていたり、綺麗なネオンが飾られている歩道を歩きます。
釜山タワーへのエスカレータの横を通ると、さすがに営業終了。
営業していれば、釜山の夜景を楽しむのも良しと思ったのだが...
野外コンサートの様子 | 歩道のネオン |
建物も電飾されています | 釜山タワー入口 |
歩道を歩いていると、Krispy Kreme Doughnutsを発見!
新宿駅南口サザンテラスでいつも行列になっているドーナッツ屋、釜山にもあるんですねぇ。
サザンテラスの行列だと、さすがに入る気がしませんが、すぐに入れるなら行きたいところ。
しかし、こういう時に限って焼肉をがっつり食べた直後で苦しい。
食べたい気持ちを我慢しつつ通り過ぎるのでした...
釜山のKrispy Kreme Doughnuts |
夜の散歩を楽しんだ後はホテルに戻りましょう。慶州で買ったお酒が待ってます!
地下鉄を一駅乗って中央洞驛まで行きましょう。
乗車駅 → 下車駅 | 系統 |
南浦洞(111)→中央洞(112) | 釜山地下鉄1号線 |
部屋に到着後、早速、酒を飲みましょう。
コップ一杯に酒を注いで乾杯!
明日は帰国日、さて、何をしようか?
釜山地下鉄 | 東横インに帰ってきました |
早速、お酒の準備 | 校洞法酒の伝統酒 |
乾杯! |