台北近郊ローカル線の旅

●訪問情報
 訪問日 :2004年3月7日(日)
 期間 :日帰り(ローカル線訪問の前後の行程を含まず)

●台湾のローカル線
 台灣鐵路(以下「台湾国鉄」)の路線は台湾を一周する幹線と幹線から分岐して内陸部に入 る支線から成ります。現在、台湾国鉄の支線は平溪線、集集線、内湾線の3つあり、全て単線 非電化になっていて「ローカル線」という言葉が似合います。その台湾国鉄の3つの支線のう ち、平溪線は台北から比較的近い場所に位置し、台北から日帰りも可能であるため、台北での 滞在型旅行でも十分に訪問可能です。さらに沿線には名所もある上、台北近郊の自然に気軽に 触れることができ、お勧めの場所です。
 平溪線は台北近郊の瑞芳から菁桐までの路線で2005年8月現在、定期列車は1日14本ありま す。大体1時間に1本程度有ることから訪問が比較的容易である事が判ります。

●沿線の特徴
 平溪線は名前の通り渓谷沿いを走ります。瑞芳から2つ目の三貂嶺までは東部幹線を通る為、 複線電化ですが、三貂嶺からは単線非電化となり、山の中に入っていき、ローカルムード満点! 沿線には十分瀑布という名所があり、観光路線としての色が濃い路線になっています。

平溪線路線図


●訪問方法
 比較的訪れやすい事もあるので、ここでは台北滞在型の旅行を行う方も訪れる事ができる様、 できるだけ詳細に書きます。

(1)台北駅から旅は始まる
 平溪線を訪れるためには、まず瑞芳駅まで移動する必要があります。台北から瑞芳までは列 車で行くのが一番手っ取り早いです。列車は台湾鐵路(台湾国鉄)の台北駅から乗車します。 台北から瑞芳まで行く列車は4種類あり、「自強號」「呂光號」(呂光號の「呂」の上には草 冠が付きますが、日本語フォントでは表示できないため、ここでは省略します)「復興號」「 電車號(通勤電車)」です。所要時間は一番速い「自強號」だと約30分、一番遅い「電車號」 でも約50分で行けますので、駅の時刻表を見てから乗る列車を決めてもOKでしょう。運賃は「 自強號」80NT$、「呂光號」62NT$、「復興號」と「電車號」は運賃が同じで52NT$です。
(運賃、及び所要時間は2005年8月現在)

台北車站(台北駅) 駅の入口

(2)切符の買い方
 「自強號」「呂光號」と台北〜瑞芳間を走る「復興號」は全車指定席ですので、駅の窓口で 乗車券を購入することになります。台湾国鉄の台北駅に入ると広い空間の切符売り場がありま すので、ここで購入します。窓口ではメモに乗る列車種別、便名、乗車区間、購入枚数を紙に 書いて窓口に差し出せば購入することができますが、ここで注意が必要です。台湾の駅の窓口 は2種類あり、1つは当日購入専用、もう1つは翌日以降分購入専用です。従って、当日出発 するのか、明日以降出発するのかで購入する窓口が違います。
 また、全車指定席の列車でも座席の指定を受けない「無座票」という乗車券もあり、この「 無座票」と通勤電車である「電車號」の乗車券は自動券売機にて購入できます。窓口で切符を 購入する自信が無かったり、通勤電車で行く場合は、この自動券売機で購入します。台北駅の 場合、地下に改札口があり、この改札口の横に自動券売機があります。尚、「無座票」は座席 の指定を受けていない為、座席には座ることはできない筈ですが、台湾では座席の指定券を持っ ている人が来るまで空いている席に座っているのを良く見かけます。逆に自分が指定された席 に既に人が座っている事も多々あります。このような時は、ここは自分が予約した座席である 事を意思表示すれば席を譲ってくれます。
 ちなみに座席の指定を受けても受けなくても運賃は変わらないので、全車指定の列車に乗る ときは、できれば窓口で座席の指定を受けたいものです。

台北駅構内の切符売り場 台北駅構内、改札口とホームは地下です
台北駅の改札口 地下では古本屋が店を広げることも

(3)瑞芳へ
 乗車券を購入したら台北駅の地下に降りて改札口を目指します。乗る列車の発車番線を確認 の上、改札口に入ります。改札口から階段を下りるとホームがあります。駅構内、車内放送は 全て中国語(北京語)なので言葉が判らない方は事前に乗る列車を時刻表などで確認しましょ う。瑞芳駅に到着すると平溪線に乗り換えですが、台湾国鉄では乗車する列車毎に乗車券を購 入する必要があるので、瑞芳駅で平溪線の乗車券を購入します。ホーム上にある窓口で乗車券 を購入できます。平溪線の列車は全て「復興號」で全車自由席です。運賃は十分瀑布がある十 分まで21NT$、終点の菁桐まで30NT$です。また、平溪線では瑞芳〜菁桐間を1日乗降自由の「 平溪線一日週遊券」が54NT$で発売しています。瑞芳駅から十分駅の往復では元が取れませんが、 この乗車券があると沿線の名所である十分瀑布の入場料が200NT$から100NT$に割引されるので、 実はかなりお得な乗車券です。

瑞芳駅ホーム ここで平溪線の一日乗車券を購入可能

●瑞芳駅から旅は始める
 平溪線の旅は瑞芳駅から始まります。台北から来て、瑞芳駅のホームで平溪線の乗車券を 購入できるので、切符は買い直しますものの、駅を出ないで乗り換えが可能です。休日は観 光客が多く訪れるらしく車内は混雑して、平溪線の車内のボックスシートは全て埋まってい て立席者も大勢います。列車は瑞芳駅から2つ目の三貂嶺までは台湾国鉄の幹線を走ります が、三貂嶺の先は平溪線の線路に入り、山の中に入っていきます。今回、我々が目指した目 的地は平溪線沿線の名所である十分瀑布ですが、それは十分駅とその手前の大華駅の間にあ ります。十分瀑布へは、十分駅から訪れるのが一般的ですが、今回は大華駅から訪れること にします。大華駅は三貂嶺の次の駅になります。大華駅を降りたのは我々以外に殆ど居ない 状況。その他、大勢の観光客を乗せ、列車は十分駅方面を目指して走って行きました。

大華駅 ホームで列車を見送る

●Stand by me!
 突然ですが、大華駅から十分瀑布へ行く為には道路はおろか、歩道すらありません。そ もそも十分瀑布自体が線路沿いにある場所で、訪れるためには線路を歩く必要があります。 (注:十分駅から行く場合は歩道が整備されているので、線路上を歩く必要はありません) 念のため、大華駅に居た売店のおばちゃんに十分瀑布への行き方を聞くと、線路を指して 「鐵路」と言います。やはり線路を通るしかないようです。ちなみに台湾国鉄では線路の 通行が禁止されています。従いまして、線路を歩くのは自己責任でお願いします。また、 平溪線はローカル線と言えど、1時間に1本程の本数がある路線ですので、線路を歩く場 合は列車に十分注意してください。
 映画「Stand by me」の気分で線路を歩きますが、時刻表によると次の十分駅で列車交 換して、反対側の列車が来ることになっています。しばらく歩いてから、安全な場所で列 車を通り過ぎるのを待ちます。渓谷沿いを走る線路なので、橋はあるし、さらに十分瀑布 到着直前には真っ暗なトンネルもあります。

平溪線を歩く 途中、列車を見送る
最後の難関!トンネル! 十分瀑布。手前の線路は平溪線

●十分瀑布
 十分瀑布は「東洋のナイヤガラ」と言われているらしく、豪快に落ちる滝が見事です。 今回は「平溪線一日週遊券」を使用しているので100NT$で入場。入口の目の前に平溪線 が走っていて、凄いところにある事が判ります。十分駅へ行く為の歩道に行くためにも 線路を横切らないと行けません。

十分瀑布 水しぶきが展望台まで来る

●台湾の江ノ電?
 十分瀑布観光後は十分駅を目指します。十分駅方面へ向かうと思われる歩道があるが、 多くの観光客が十分駅に向かう線路上を歩いているので、こちらも引き続き、線路上を 歩くことにします。途中、大きな鉄橋があるが、隣につり橋の歩道が整備されているの で歩道を歩く。さすがに目の前に歩道があるのに大きな鉄橋を渡るのは危険。さらに歩 くと十分駅方面の道路と合流するので、線路と別れを告げ道路を通り十分駅に向かう。 ここまで来ると十分駅はもうすぐ。十分駅付近に近づくと線路を合流するが、ここは線 路の両側に商店が並んでいてよい雰囲気です。この雰囲気、何処かで見たことがある。 そう、江ノ電の併用軌道区間になんとなく雰囲気が似ている。確かに、ここは併用軌道 ではないし、海岸沿いではなく山の中であるので似て非なるものである。しかし、線路 の両側にある商店といいと真ん中を走る列車といい、どうしても江ノ電の併用軌道区間 を連想してしまう。この雰囲気を非常に気に入ってしまい、しばらく十分駅周辺をぶら つく。十分駅から平溪線に乗車し、さらに先に進んで終点の菁桐まで旅を続けたいが、 スケジュールの都合がある為、瑞芳駅行きの列車に乗り込み、平溪線の旅を終えること にする。十分駅から菁桐駅までの旅は次に行く時まで取って置くことにしよう。 (注釈に★が付いている写真はクリックすると大きな画像が表示されます)

鉄橋にて 十分駅付近の商店街
★商店の間を縫うように走る列車 十分車站(十分駅)
平溪線はタブレット閉塞 沿線には線路を歩く人が
瑞芳に到着 瑞芳車站(瑞芳駅)


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