阿里山森林鐵路(台湾)

●訪問情報
 訪問日 :2004年10月4日(月) 〜 5日(火)
 期間 :2日間 (阿里山森林鐵路訪問前後の日程を除く)

●阿里山森林鐵路とは?
 世界でも数少ない山岳鉄道のうちの一つです。標高30mの嘉義駅から標高2,216mの阿里山駅 までを結ぶ全長71.4kmの本格的な山岳鉄道です。日本の最高地点の駅である小海線の野辺山駅 が標高1,345mですので、これより約900m高い標高まで登ることになります。特筆すべき点は、 線路の幅(ゲージ)が762mとナローゲージになっている事です。
(参考までにJR在来線は1,067mm、新幹線は1,435mm)
その為、阿里山森林鐵路の列車は小型で可愛い列車です。しかし、標高2,000m以上の山を登る という事もあり小さい車体だが頼もしく力強い列車です。

●沿線の特徴
 阿里山森林鐵路の最大の見所は3重スパイラルという非常に珍しいループ線にあります。ス パイラルを和訳すると「渦巻の」「らせん(形)の」、即ち3重のループ線になっているとい う事です。日本でも上越線などでループ線自体は存在しますが、3重どころか2重になってい るループ線も存在しません。さらに数箇所のスイッチバックもあり、路線の特徴を見るだけで も山岳鉄道である事を理解する事ができます。(注釈に★が付いている写真はクリックすると 大きな画像が表示されます)

★阿里山森林鐵路案内図

●訪問方法
 阿里山森林鐵路の始発は台湾南部の嘉義駅です。台北から嘉義まで列車で行く場合、自強號(特急) で所要時間約3時間30分で運賃は600NT$(約2,100JPY)です。自強號の無座票(立席特急券 みたいなもの)は駅の自動券売機で購入できますが、座席を確保するには駅の窓口で購入する 必要があります。ちなみに座席の指定を受けても受けなくても料金は同じなので、窓口にて座 席を確保する事をお勧めします。尚、中国語が話せない場合は以下の情報を紙に書いて窓口に 差し出せば購入可能です。
 (1)乗車日(例:12月1日)
 (2)列車種別、及び便名(例:自強號 1003次)
 (3)乗車区間(例:台北→嘉義)
 (4)購入枚数(例:買二張)
※希望の列車が満席の事もありえるので第3希望辺りまで書いておけば安心です。

 嘉義駅までは本数が多く、比較的訪れやすいが、そこから阿里山森林鐵路に乗車して阿里山 を目指すのは大変です。定期列車が嘉義発13:30の1日1本しかありません。(嘉義駅を 朝出発する臨時便が運行される日もあります)阿里山森林鐵路訪問の最大の難関は阿里山森林 鐵路自身にあります。また、定期便に乗車して阿里山に到着しても当日中に嘉義まで戻るバス、 列車等の公共交通は既にありません。従って、阿里山で宿を確保する必要があります。もっと も阿里山は祝山から見る御来光が最大の見せ場の為、これを見ずにして嘉義に戻る事はありえ ませんが。阿里山の宿を現地で調達する場合、昼前に嘉義駅をうろうろしてると宿の客引きが 近づいてくるので、ここで交渉の上確保する事ができます。実際の部屋を確認できないデメリッ トはあるものの、阿里山で宿の確保に失敗するリスクを考えると、ここで宿を確保するのは悪 くないかもしれません。但し、宿の確保については自己責任でお願いします。尚、嘉義駅は阿 里山の玄関口であるため観光客相手の客引きが多くいます。無用のトラブルに巻き込まれない 様、十分注意して下さい。
 阿里山森林鐵路の乗車券は台湾鐵路の嘉義車站内にある窓口で購入します。嘉義〜阿里山間 の運賃は、片道399NT$、往復680NT$です。全車指定席で乗車券購入時に座席の指定を受けます。 私が訪れた時は往復乗車券を購入しましたが、購入時に往復分の座席の指定を受けました。

往復乗車券
※乗車日の「93年」は西暦ではなく、台湾の元号「中華民國93年」を意味します

●嘉義から旅が始まる
 ここからは実際に阿里山森林鐵路を訪れた時の模様を紹介します。 阿里山森林鐵路の始発駅がある嘉義は台湾の南部の都市で前述の通り、台北から自強號で所要時間 約3時間30分とかなり離れた場所にあります。また、嘉義は北回帰線上にある街で台北とは 異なる南国の雰囲気を楽しむことができます。

嘉義の街並み 嘉義車站

●阿里山森林鐵路乗り場へ
 阿里山森林鐵路の旅は台湾鐵路の嘉義車站の隅にある阿里山森林鐵路ホームから始まります。駅自体 は台湾鐵路と共用になっているので、阿里山森林鐵路の乗車券で台湾鐵路の改札口を通ることにな ります。阿里山森林鐵路の乗り場は台湾鐵路の1番ホームの片隅にあります。

阿里山森林鐵路 駅名板

●阿里山森林鐵路の景色
 嘉義車站を出ると暫くは嘉義の街中を走ります。家と家の間を縫うようにして走り抜けます が、街を出ると田園風景に早変わり。田園風景と言っても台湾の南部地方なので日本と違った 南国の熱帯地方の景色を楽しむ事ができます。そして段々と山岳地帯に入ってきます。
 阿里山森林鐵路の最大の見せ場である3重スパイラルで一気に標高を登ると景色は
熱帯→亜熱帯→温帯
と変わっていきます。わずか71.4kmの路線で3つの気候区分を通るのです。

嘉義近郊の田園風景 だいぶ登ってきました
車内の様子 さらに登る!

●途中、不通区間が...
 私が訪れた2004年10月4日の数ヶ月前、台風により一部区間の線路が流される事故があり、列 車の運行自体は行っていましたが、不通区間(245m)は徒歩での連絡になってました。不通区間 に到着すると列車を降り、仮設で作られた歩道を歩いていきます。不通区間の先に行くと阿里山 まで行く列車が待っているという状況です。つまり、不通区間にて乗客の入れ替えを行うという 運用を行っていました。
 途中、列車の入れ替えはありましたが、嘉義から3時間30分後に阿里山に到着。阿里山駅は 1999年9月の台湾中部地震で倒壊して、私が訪れた時は阿里山駅の駅舎の再建工事を行っていて、 列車の発着は仮設の臨時駅を使用していました。
 阿里山は自然保護地域につき、駅を出るときに森林保護区の入場券を購入する必要があります。 外国人は森林保護区の入場券を販売している係員に自分が外国人である事を申告し、パスポート を提示する事により10NT$になります。(注:2004年10月現在。2006年1月に再訪した時は10NT$ では無かった)

不通区間の案内 歩道より列車を見る
臨時停車場1(帰りに撮影) 臨時停車場2(帰りに撮影)
不通区間。これは酷い! 列車に乗り込み旅の再開です
駅弁が有名な奮起湖車站 阿里山臨時駅に到着

●宿に宿泊
 10月でも十分暖かい北回帰線付近にある阿里山ではあるが、標高2,216mまで登れば、さす がに肌寒いです。阿里山車站到着後、嘉義で予め予約した宿に宿泊します。予約した宿のワゴ ン車が駅前に来ていた為、ワゴン車に乗り宿まで送ってもらう。駅から距離があるのかと思っ たが、歩いても5分程度の距離であった。夜は現在工事を行っている阿里山車站付近にある食 堂で夕食してから就寝。明日は早いのである。

●祝山からの絶景
 阿里山の朝は早い。朝4時に部屋にモーニングコールが掛かる。宿の人も宿泊客が御来光を 見ることを前提としている為か手際が良い。これから阿里山森林鐵路の祝山支線に乗車して御来光 を見に行く。阿里山森林鐵路には祝山と眠月の支線がある。祝山支線は御来光を見ることができる 祝山まで行く路線で早朝しか運行されていない。一方、眠月支線は前述の台湾中部地震の影響 で今もなお不通となっている。宿の外に出ると非常に寒い!ぶるぶる震える。台湾でこの寒さ はありか!と思ってしまう程。宿の前で出店があり、ここで缶のミルクティを購入。飲むと体 中が温まる。幸せ♪
 阿里山臨時駅に向かい、窓口で祝山までの往復乗車券を購入。150NT$也。祝山線の列車はオー ルロングシートである。車内は団体客が多く乗車しており、阿里山車站発車時点でかなりの混 雑。また日が出ていない暗い中、右へ左と列車は曲がっていく。途中、沼平車站でさらに乗客 が乗り込み満員状態になる。
 祝山車站に付くと、出口に向かうと帰りの列車の発車時刻が表示されている。駅を出ると目 の前に御来光を拝む場所があり、ここで日の出を待つことになる。祝山車站の出口付近で簡易 サングラスを販売している人が居たので10NT$で購入。祝山から見る御来光は本当に見事! 是非、実際に訪れて自身の目で見てください。ちなみに、朝日を見るのでサングラスはあった 方が良いです。

阿里山臨時駅にて まだ夜明け前
帰りの最終は朝の6時40分! ★祝山から見る御来光
祝山車站にて 阿里山臨時駅で保存されているSL

●阿里山自然保護区を歩く
 祝山から阿里山に戻り朝食を採る。御来光を拝んだ人達で繁盛している。食後、宿をCheck-out して自然保護区を歩くことにする。荷物は宿の人に預かってもらう。

阿里山森林鐵路の案内板 見事な見晴らし
自然歩道より(その1) 自然歩道より(その2)
沼平車站(その1)) 沼平車站(その2)

●下山
 阿里山自然保護区を歩いた後は、阿里山車站前の土産屋でお買い物。阿里山は「わさび」が 名物らしく、さらに、ひらがなの看板もあり、ピンポイント見ると日本の観光地のようだ。他 に高山烏龍茶が名物で、お土産屋の中にお茶の専門店もある程。土産屋のおねーさんに試飲さ せてもらい、かなり美味しかったので値切り交渉の上購入。列車の発車時間まで時間があった 上に土産屋も閑散としていたので、おねーさんと雑談。試飲のお茶を飲み干すと次々に注いで くれたので気がつくと10杯位お茶を飲んでいた(笑)
 阿里山臨時駅13:23発の嘉義行きの列車で下山する。行きと同様に途中で不通区間を歩き、 嘉義を目指す。嘉義には夕方に到着、嘉義の街は丁度夕方のラッシュ時間で踏切を通る度にけ たたましく汽笛を鳴らしながら走行。元々本数の少ない鉄道なので踏切を意識していない人が 多いのか。1回列車が踏切前で緊急停止するハプニングはあったが、無事に嘉義車站に到着し て阿里山森林鐵路の旅は終わる。

阿里山駅前広場 阿里山名物「わさび」


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